ミシンがけの話。その14. アイロンの話。

先日、苫小牧で、
アイロンをかけていて、 腕や手が痛い! ・・・・・と言う、
人がいて、 よく聞くと、 無駄に アイロンを上げ下げ しているようなので、、
アイロンのかけかたを お話した。

常識かもしれないけど、 知らない人もいると思って、 書きます。

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まず、アイロン台を つくる。・・・・・・アイロンをかけるスペースは 広いほどいい。
市販のアイロン台では  狭すぎる。  厚みもないほうがいい。
テーブルの上に 帆布のような厚くて 目のつまった 木綿を8枚から10枚に重ねて、
折ります。 洋服を縫う人なら、 100センチ×70センチ くらいあったほうがいい。

アイロンは 1ミリも持ち上げない。
かけるたびに、 立てかける人がいるけど、
そんなことをすれば いつか 手首を痛める。
アイロンは 高温になると、自動的に通電が切れるようになっているし、
ある一定以上に熱くならないので、 置いたままにする、その方が電気代の節約にもなるし。

アイロンから、離れる時はスイッチを切ってください。

アイロンは かける時、先のほうを5ミリほど、持ちあげて、かけ終わったら、スルッと、
押しやる。   アイロンで 筋トレ してはいけない、  疲れますよ。
アイロンの接着面は きれいにしておいてくださいね、 上手にかけれないだけでなく、
摩擦で アイロンが重くなる。

コードも、余裕を持たせて、・・・・・・・・・
いちいち、ひっぱっていたんでは、 無駄な動きになってしまう。

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以前、 デパートの催事で、人形作家さんが 絹糸にアイロンをかけているのを見て、
感激した。 絹糸は 台紙に巻いているので、 クセがついているし、
撚りが 変になっていると、
きれいに縫えない。       だから、 いちいち、 アイロンをかける。

そのことは 後でわかったんだけど、 それより、感動したのは、
まるで、 踊るように ゆったり、リズミカルに アイロンをかけていた あの作家さんの動き。

それ以来、 職人さんの 手の動きや 体全体の動きを 見るようになった。
何時間 同じ動きをしても ぶれない、だから、疲れない。
美しいですよね。

キッチンで、 料理する時も、 一歩も無駄に歩かない、極力 合理的に、と考える。

長い時間、縫い物をすると、 肩は こるし、 目は痛くなるし、手指は 痛くなる。
いやになることあるけど、
私のお客さんで、 96歳のおばあちゃんがいるんですけど、70年以上縫っていて、

きっと、あちこち痛いだろうと思う、けど、 なんと、 すでにかなり 上手な人なのに
裁縫教室に通って コートなんかを縫っていらっしゃる。
牛乳瓶の底のような メガネをかけて、 不平不満を言うことなく、 淡々と 縫ってらっしゃる。
大事な私の お師匠さんです。

ちょっと、工夫して、 職人さんの 様子を観察したりなんかして、自分のフリを、見直してみませんか。  直したら、 上手になって、楽になること、あると思います。