店主の宝物2 布切れ。 泥染めは 弱い、の、証明。
この布切れ、格子に 織ってあって、スケスケ。
よく見ると、茶色の糸くずが、まつわりついている。
もともとは すけてなくて、茶色の部分が ムレテ、なくなってしまったんだね。
これ、多分、湿気の多い環境で、茶色の泥染めの糸が、
崩れ落ちてしまって、藍染めの糸が のこってしまったんだね。
こういうふうに、きれいに 藍が残っている、キレッて、スゴク、珍しい。
染色の特徴を説明するのに、・・・・・店主の宝物。
泥染めは 鉄などの金属のバイセン、なので、繊維を弱める染色。
他方、藍は 繊維を 強くする染色。 労働者の味方。
大島紬は 泥染めの代表格で、湿気っぽいところに きちっと、しまいこんでおくと、
ムレて、弱くなってしまう。 生地屋をやっていると、そういう大島紬によく、
出会う。
せっかく、いい大島紬が 手に入った、と、よろこんでいても、
弱っていて、スルスルと、 裂けてしまっては、ガッカリ。
しかたないから、裂き織りに使う、のだが、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それすらもできないほど、弱くなっていることもある。
ああ、もったいない! しまってばかりいないで、時には 空気にあてて、あげてください。
引き出しの中に 備長炭を ガーゼなどにくるんで、入れておくといいですよ。
引き出しは キチッと、閉めないで、だらしないけど、少し開けておきます。
もう少し、天気が良くなったら、 虫干し してください。
でもね、 着て歩くこと・・・・・・着物にとって 一番、いいことだと、思います。