インドの思い出 Ⅲ    牛の不思議

牛の不思議。

どこへ行っても、絶対楽しいのは、地元の市場めぐり。
お土産やさんなんて、つまらない。
知らない初めて見る食べ物、グッヅ、人々の生活がある。
インドの市場へ行った時のこと。
夕方、そろそろ、店じまいの時間になって、
野菜屋さんが お片づけし始め、売れ残って、シワシワになった野菜を、
売り台を傾け、通路に落としていた。

汚いなあ・・・。

と、思っていたら、あちこちから、牛が のろのろ集まってきて、それを食べ始めた。
たちまち、散乱していた野菜が 牛の胃袋におさまってしまった。

そうか、インドには 生ゴミがないのか・・・。

牛のうんこも、燃料にしたり、壁を作ったり、無駄にしない。
インドには ゴミがない。
ペプシコーラなどの、飲料水は 全部、ビンで、カンは 見なかった。
飲んでいると、
子供たちに じいっと 見つめられる。
コーラが欲しいのかな、と思ったら、どうも、ビンが欲しいらしい。
お店屋さんで、換金して、おこづかいにする。。
空き缶や ゴミが道端に転がってる風景、というものをほとんど、見なかった。
牛のうんこを 時々、ふんづけるけど、(あんまり、汚くない、)
落ちているゴミはなくて、
町が、とてもきれい。
朝、各家庭から出される道端のゴミは 完璧に、分別収集されていて、(貧乏そうな人たちが、それぞれ、集めて歩いていく。)市が 収集していくのは ほんとうの、ちりあくただけ、
量は、すごく少ない。…江戸の町も そうだったらしい。
それにしても、・・・・・この牛たち、誰のものなんだろう?・・・所有者は いるんだろうけど。
見ると、ミルクを搾っている人がいる。
友人に聞くと、
所有者が 市場に お金を払っているらしい。牛と市場は 共存している。
でも、いなくなったりしないんだろうか。 夜はどうしているんだろう。
・・・・・・・・なんか、不思議。
友人 いわく・・・。

大昔、偉いお坊さんが 牛は神様だから、殺してはいけない、と、教えた。

インドの人たちは それを信じて、今でも 牛を食べないし、菜食主義の人が多い。
もし、食べてもいい、ということになると、
あっという間に、牛は いなくなってしまう。   インドの人口は,
激しく多いから。
そうなったら、赤ちゃんや 病人にあたえられるべき、ミルクがなくなってしまう。
今、インドの人口が 増え続け、繁栄しているのは、牛のおかげと、
カースト制度のおかげだろう。
インドの人たちは 信心深くて、我慢強い。
友人が 言った。

世界が滅びても、インドは 存続する。